夜中のキッチンで「カサカサッ」と、猫が何かを漁っていたという経験はありませんか?

起きて確認してみたら、猫がビニールを舐めてた…。



ビニール袋を舐めるのって大丈夫なの?
ビニール袋で遊んでいるだけのようにも見えますが、誤って飲み込んでしまわないか心配になりますよね。
猫がビニール袋を舐めてしまう背景には、以下のような原因が考えられます。
- カサカサ音や独特の質感に反応している
- 子猫時代の「吸う行動」の名残りが影響している
- 退屈やストレスを抱えている
- 体のどこかにある不調を訴えている
ここで大切なことは「なぜ舐めるのか」を知ったうえで、ビニール袋の誤食を防ぐことです。
この記事では、ビニール袋を舐めてしまう原因からリスク、今日からできる具体的な対策までをわかりやすく解説します。
家の中にはビニール袋以外にも、猫にとって危険なものがありふれています。ビニール袋だけでなく誤食全体を防ぐためにも、今回の記事が参考になれば幸いです。
猫がビニール袋を舐めるのはなぜ?考えられる4つの理由


ビニール袋を執拗に舐めてしまう行動には、猫が持つ「本能」や「成長の過程」が原因として考えられます。
猫にとってビニールを舐める行為は単なるイタズラではなく、心を落ち着かせるための「おしゃぶり」のような役割や、野生時代の「狩猟本能」を満たすための行動であることが多いからです。
ここでは猫がビニールを舐めてしまう理由を4つご紹介します。
- カサカサ音や独特の質感に反応している
- 子猫時代の「吸う行動」の名残りが影響している
- 退屈やストレスを抱えている
- 体のどこかにある不調を訴えている
カサカサ音や独特の質感に反応している
ビニール袋に触れたときの「カサカサ」という音や質感が、猫の狩猟本能を刺激している可能性があります。
猫はもともと小鳥やねずみといった小動物を捕らえて生きてきた捕食動物です。動物行動学では、猫は小さく不規則な動きや音に強く反応する習性があるとされています。
ビニール袋がこすれるときの音や飼い主さんが袋を持った際の軽く揺れる動きは、猫には以下のように感じられるのかもしれません。
- 何かが動いているように見える
- 小さな生き物の気配のように聞こえる
- 追いかけたくなる刺激になる
とくに高い音やカサカサとした微細な音は、自然界では小さな獲物が発する物音に近い特徴を持つ点もポイントです。
「ビニール=獲物」と認識していると断定することはできませんが、カサカサという音や軽い動きが、猫の本能的な反応を引き出している可能性があります。
子猫時代の「吸う行動」の名残が残っている
猫がビニールを舐めたり、吸い付いたりする理由の一つとして、子猫時代の名残りが考えられます。猫にとっては「おしゃぶり」を加えているような感覚です。



なんでビニールが「おしゃぶり」になるの?
ビニールのスベスベした質感や音は、母猫を連想させやすいからとも言われています。毛布などを吸う「ウールサッキング」とも共通する心理的背景を持っていると考えられます。
毛布やタオルなどの布製品を、まるで母猫のおっぱいを吸うようにチュパチュパと吸ったり噛んだりする行動のことを「ウールサッキング」と呼びます。
「ウール」という名前がついていますが、毛布だけでなく、クッションや飼い主さんのパジャマ、さらにはビニール袋などを対象にする場合もあります。
猫がビニールに執着するのは、今まさに「心を落ち着かせて安心したい」というサインでもあるのです。
退屈やストレスのサインとして現れている
猫は刺激が少ない環境や強いストレスを感じたとき、自分を落ち着かせるために同じ行動を繰り返すことがあります手軽に触れられるビニール袋は、猫にとって「気を紛らわせる対象」になりやすい存在です。
結果として、舐める行動が習慣化することも。例えば、次のような変化はありませんでしたか?
- 留守番の時間が長くなった
- 以前より遊ぶ時間が減っている
- 引っ越しや模様替えをした
- 家族構成が変わった
ビニール舐めが増えた背景に、刺激不足やストレスが隠れていることがあります。叱るのではなく、遊びや環境を整える視点が大切です。
猫たちが以下のような行動をしていないかチェックしてみましょう。
- 夜になると繰り返しビニールを探す
- 叱られてもやめず、何度も戻る
- 以前より頻度が増えている
こうした行動は、猫が自分を落ち着かせるために行っている可能性もあります。ただ、頻度が高い場合や執着が強い場合は、環境の見直しや獣医師への相談を検討すると安心です。
まれに体の不調が隠れていることもある
頻繁にビニールを舐めたり、噛みちぎったりする場合は、体の不調が背景にある可能性も考慮しましょう。
栄養価のないものを持続的に口にする行動を「異食症(Pica)」と呼びます。この行動は、環境要因だけでなく、消化器の不調や栄養バランスの乱れなどと関連することがあるとされています。
とくに次のような様子が見られる場合は注意が必要です。
- ビニールを噛みちぎって飲み込もうとする
- 舐める頻度が急に増えた
- 嘔吐や食欲低下がある
- 元気がない、体重が減っている
ビニールを舐める行動だけで病気と判断することはできません。ただし、飲み込む行動がある場合や、体調の変化が重なっている場合は、早めに獣医さんへ相談することが勧められます。
ビニールを舐めるのは危険?受診の目安をチェック
ビニールを舐める行動そのものが、すぐに深刻な問題につながるとは限りません。大切なのは「舐めるだけ」なのか、「飲み込んだ可能性があるのか」を分けて考えることです。
- 舐めただけで終わっているか?
- 噛みちぎった形跡はないか?
- 飲み込んだ可能性はないか?
- その後の様子に変化はないか?
ビニールを舐めただけで元気や食欲に変化がなければ、緊急性が高いケースは多くありません。ただし、飲み込んだ可能性がある場合や体調に変化が見られる場合は注意が必要です。
次のような場合は、早めに獣医師への相談を検討してください。
- 嘔吐を繰り返している
- 食欲が落ちている
- 便が出ない、または強くいきんでいる
- ぐったりして元気がない
- 明らかにビニールを飲み込んだ可能性がある
書籍「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」には、誤食の可能性があった場合の対処方法をフローチャートで詳しく紹介しています。
万が一が起きた時にあわてないように、事前に準備しておきたいオススメの1冊です。
誤食で起こりうるリスク
ビニールを「舐めるだけ」で終われば大きな問題にならないこともありますが、噛みちぎって飲み込んでしまうと、体に負担がかかる可能性があります。
ビニールは消化されない素材です。そのため、飲み込んだ場合は体内で分解されず、消化管にとどまることがあります。
- 消化管の閉塞:腸の通り道がふさがる状態
- ひも状異物による腸の絡まり:長い素材が腸に引っかかる状態
- 腸の損傷:鋭い破片が粘膜を傷つけることもある
とくに、長く裂けたビニールや細い持ち手部分は、ひも状異物と同じ扱いになります。



もし詰まってしまった場合はどうなるの?
書籍「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」では、誤食時の主な治療として以下の4点をあげています。
引用:猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑 監修 服部 幸 ねこねっこ
- 催吐剤を使って吐かせる
- 胃洗浄、吸着剤・下剤・解毒剤の投与
- 内視鏡手術を行う
- 開腹手術を行う
誤食が起きてしまうと、猫の体に大きな負担がかかることは把握しておきましょう。また、万が一に備えてかかりつけの獣医さんを見つけておくことも大切なポイントです。
誤食を防ぐために必要な5つのポイント


ビニールの誤食を防ぐには、「猫の行動を止める」よりも「誤食できない環境をつくる」ことが大切です。
猫がビニールを舐める背景には、本能的な反応や退屈、習慣などさまざまな要因があります。行動そのものを叱って止めようとすると、かえってストレスが増す可能性があります。
そのため、まずは物理的に触れられない環境を整えることが基本になります。
- ビニールを出しっぱなしにしない環境づくり
- フタ付きのゴミ箱で物理的に防ぐ
- 舐め始めたら静かに別行動へ誘導する
- 噛んでOKな代替アイテムを用意する
- ビニールを舐める頻度が高い場合は獣医さんに相談する
ビニールを出しっぱなしにしない環境づくり
最も効果的なのは、猫がビニール袋に触れられない環境をつくることです。
猫は目に入るもの、手に届くものに反応します。視界や生活動線にビニールがあると、興味を持つ機会が増えてしまいます。
- 買い物袋はすぐに片づける
- 床やソファに置いたままにしない
- ゴミ袋はむき出しにしない
猫の行動を叱ったりするよりも、そもそも「見せない・置かない」ことが予防の第一歩になります。
フタ付きのゴミ箱で物理的に防ぐ
ゴミ箱はフタつきにすることで、誤食リスクを大きく減らせます。
ビニールは生ごみと一緒に捨てられることが多く、においも残りやすい素材です。フタのないゴミ箱では猫が中身を引き出してしまうことも。
- 足踏み式やロック式の蓋つきにする
- 倒れにくい構造を選ぶ
- キッチン以外の場所にも注意する
猫が物理的に触れない状態をつくることで、誤食の機会そのものを減らせます。
舐め始めたら静かに別行動へ誘導する
叱るよりも、自然に別の行動へ切り替えるほうが効果的です。猫を強く叱ってしまうと、驚いたりや不安になってしまい、かえってストレス行動が強まる可能性があります。
- おもちゃで遊びに誘う
- 名前を呼んで注意をそらす
- 静かにビニールを片づける
猫の行動を否定するのではなく、別のことに興味を移す方法の方が長期的に成功する可能性が高まります。
噛んでOKな代替アイテムを用意する
吸いたい、噛みたいといった口を使いたい欲求を、おもちゃで満たしてあげることも有効です。
猫がビニールに興味をそそられてしまう背景には、口を使う刺激を求めている可能性があります。その欲求を別の形で満たしてあげることで、ビニールへの執着が弱まることがあります。
- 噛んでも大丈夫な猫用のおもちゃ
- 知育トイで刺激を増やす
ビニールを舐めることを「やめさせる」だけでなく、「代わりになるものを与える」視点が重要です。
ビニールを舐める頻度が高い場合は獣医さんに相談する



色々試してみたんだけど、ダメだった…。
ビニールを舐める行動を繰り返し行なってしまう場合は、一人で悩まずに早めに獣医さんへ相談してみることをおすすめします。
室内の環境要因だけでなく、体調や栄養状態が影響している可能性も否定できません。一人で悩まずに、獣医さんに相談することで不安もぐっと減ります。
また、動物病院の中でもペットの問題行動を専門にしている獣医さんが在籍している病院もあります。
≫行動診療を行う施設(地域別一覧) | 日本獣医動物行動学会
近所に対応している病院があるか、チェックしてみましょう。
まとめ:ビニール袋の誤食の不安を減らすために今日からできること
ビニール袋の誤食につながるリスクを減らすためにも、「なぜ猫がビニールを舐めてしまうのか?」を理解しておくことが重要です。
この記事では、猫がビニールを舐める背景として考えられる理由を整理しました。
- 音や動きに本能的に反応している可能性
- 子猫期の吸う行動の名残
- 退屈やストレスの影響
- まれに体の不調が関係しているケース
今日からできることは、決して難しいものではありません。
- ビニールを出しっぱなしにしない
- 蓋つきゴミ箱を使う
- 遊びや代替アイテムで刺激を補う
小さな工夫の積み重ねが、誤食のリスクを減らし、猫の健康を守ることにつながります。迷ったときは一人で抱え込まず、専門家に相談することも選択肢のひとつです。
今回の記事でご紹介したビニール袋はあくまで一例にすぎません。
記事内でご紹介した書籍「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」では、誤食のリスクがある身近なものを詳しく知ることができます。トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ読んでみてください。


