
我が家にも猫を迎えたいけど、ちょっと不安…。
愛らしい猫たちの暮らしは日々の生活を豊かにしてくれる一方で、生き物を飼うという責任が重くのしかかるのも事実です。
環境省の統計では、令和5年度だけでも2万5千頭以上の猫が自治体に持ち込まれています。飼い主さんの事情で、猫が自治体に引き取られるケースが後を絶たちません。
その背景には、以下のような理由があると指摘されています。
- 飼い主さんの体調悪化
- 住環境の変化
- 思っていた以上の金銭的負担
このような現実があるからこそ、猫を迎える前に現実を知っておくことに大きな意味があります。 これから10年以上の猫との暮らしを、具体的にイメージしてみましょう。
この記事では、猫を迎える前に知っておきたい7つの現実をご紹介します。猫を飼う前にチェックしたいポイントもぜひ参考にしてください。
猫を飼うことの現実を知ることが、猫との暮らしを手にいれる第一歩になります。
猫を飼う前に知っておきたい7つの現実
猫カフェやペットショップで見かける猫たちはどの子も可愛いらしく、猫との暮らしを夢見る方も多いかと思います。
しかし、猫との暮らしは癒しだけではありません。動物を飼うという長期的な責任と現実的な負担の両方がのしかかってきます。
猫が手放される理由として多いのは、「生活とのミスマッチ」や「想定外の変化」です。
- 時間:想像以上に長く続く飼育期間
- 生活:外出・旅行・住環境が制限される
- お金:固定費+突然の医療費が発生する可能性
かわいいと思って迎えたこと自体が問題なのではなく、一度だけ現実を整理しておくことが重要です。
15年前後続く「終生飼養」の責任が伴う
猫を迎えることは、10年以上続く責任を引き受けることです。
アニコム損害保険の公表データでは、猫の平均寿命は14.5歳とされています(※同社のペット保険契約データに基づく推計)。
犬・猫の平均寿命を調査したところ、犬は14.2歳、猫は14.5歳でした。
引用:ペットにまつわる最新データをまとめた『アニコム 家庭どうぶつ白書2024』
猫との幸せな時間がもっと長く続くと良いね!
一方で猫と過ごす10年以上の間には、人生の変化と重なりやすい期間でもあります。
- 転職・転勤・引越し
- 結婚・同居・家族構成の変化
- 体調や働き方の変化(忙しさ・通院など)
10年後も猫と暮らしている自分を想像できるか?ここが猫を飼うための最初の分岐点になります。
【長寿猫のご家庭】
— 獣医師 やまけん(山本 健二)|老猫・高齢猫ケアのサポーター|後悔しない選択を一緒に考える (@ZEROyamaken) March 10, 2026
「このお家の猫さんは、みんな長寿」
獣医師をしていると、
そんなご家庭に出会うことがあります。
特別な高価なサプリや、
特別な治療をしているわけではないのに、
代々の猫が、みんな18歳、19歳…と長生き。
あくまで私が臨床で感じる「傾向」ですが、
まとめてみました。… pic.twitter.com/jOuqVRnEBA
嘘みたいだけど、こんな顔して20歳のキジ猫ハナちゃん
— にゃんたまチャンネル@猫と遊べる温泉旅館 (@nyantamach222) February 19, 2025
20歳の以上の猫と暮らしてる方、是非写真見せて頂けませんか?コメント欄に貼り付けよろしくお願いします pic.twitter.com/fQra8IpOhf
引越しや住環境の変化が影響することがある
猫を迎える前にいちばん現実的に確認したいのが、この先も猫を飼える住まいか?という点です。
複数のデータにおいて、住環境の問題は猫を手放す理由の上位に入っています。
たとえばデンマークの動物シェルターの調査(1996〜2017年)では、猫の手放し理由として住宅問題が26%と報告されています。
参考文献:JBH Jensen et al. (2020) Owner-Related Reasons Matter more than Behavioural Problems—A Study of Why Owners Relinquished Dogs and Cats to a Danish Animal Shelter from 1996 to 2017.



なんで住宅問題が、猫を手放す理由になるの?
住宅問題が理由になるのは、次のような「猫の気持ちとは無関係な変化」が起きるからです。
- 転勤・引越し:地域にペット不可物件しか選べない
- 同居の開始:家族の反対やアレルギーが判明する
- 住居の条件:におい、鳴き声などの騒音で近隣トラブルを不安に感じる
環境省の啓発資料でも、飼う前に「そのペットを飼える住宅か?」を確認する必要があると注意喚起しています。
猫を迎える前に住まいの条件と将来の引越し可能性、家族構成の変化などを現実的に確認しておくことが大切です。
猫は環境が変わる事にストレスを感じるから難しい。ルカは今の家に引っ越して来た時もこんな風に↓怯えてたし病院連れてく時もバッグの中で鳴き喚くし家以外は超ストレスなんだ。だからペットホテルのような知らない場所で知らない人と過ごすのはかなり厳しい🤦仮に預けるにしてもこの家しかダメだ。 https://t.co/PS59lKJ37L pic.twitter.com/vvAmcTgGWM
— 胸男(Muneo) (@Funnycat_Ruka) March 3, 2026
猫が家で走り回ってるのを見ると、わたしはこの幸せを自ら勝ち取ったんだな……という気持ちになる
— 微睡 (@natsucco) August 10, 2024
説得とか引越しとか闘病とか資金とか色々乗り越えて良かったよな pic.twitter.com/1ZrpC06BZV
飼い主さんの健康や生活の変化は予測できない
猫を迎えるときに見落としやすいのが、「自分の変化」です。猫の問題ではなく、飼い主さんの体調や生活の変化が理由で飼育が難しくなることがあります。



自分が病気になった時、猫のお世話はどうしよう…。
先ほどご紹介したデンマークの動物シェルターの調査(1996〜2017年)では、猫を手放した理由の中で飼い主の健康問題が32%と最も高い割合を占めていました。
参考文献:JBH Jensen et al. (2020) Owner-Related Reasons Matter more than Behavioural Problems—A Study of Why Owners Relinquished Dogs and Cats to a Danish Animal Shelter from 1996 to 2017.
つまり猫の性格や問題行動よりも、飼い主さん側の事情が大きな要因になることが多いのです。
- 持病の悪化や入院
- 妊娠・出産による生活変化
- 仕事の激務化・長時間勤務
- 親の介護が始まる
猫は環境の変化に敏感な動物です。お世話をする人の余裕がなくなると、猫の生活の質が下がってしまう可能性があります。
アドバイスは大変ありがたいのですが、私たちプロなので一般の方の考える「やるべき事」なんて順番に適切なタイミングで行っているんだよ。
— 保護猫かふぇ かぎしっぽ (@kagishippo2015) March 11, 2026
譲渡審査をしっかりしたとて、1年後に精神疾患を患う人だっているし2年後に癌を患う人だっているんだよ。
未来予知まで求められてもマイっチング〜! pic.twitter.com/y32wVd6Dh1
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— ずらお🦍 (@nya0_n) March 9, 2026
離婚して実家に帰ってきてて猫は連れてこれないから元旦那に面倒見てもらってる😇
無事ペット可物件見つけて引越し先決まったから4月から猫たちも一緒に住めるよ😇 https://t.co/gZq8B5gsHg
猫の問題行動に向き合う覚悟が必要
猫はとても賢いですが、しつけをすれば必ず思い通りになる動物ではありません。問題行動が起きたときに向き合えるかどうかが分かれ道になります。
アメリカのシェルターにおける飼育放棄記録(2018〜2023年)を分析した研究では、手放した理由の上位に問題行動(28%)が挙げられています。
参考文献:Kisley MA, et al. (2024) Investigating the Reasons behind Companion Animal Relinquishment: A Systematic Content Analysis of Shelter Records for Cats and Dogs, 2018–2023
- トイレ以外での排泄
- 夜中の鳴き声や活動
- 家具へのひっかき
- 飼い主さんに攻撃的になるケース
問題行動の多くは環境やストレス、刺激不足が背景にあると言われています。



こんなはずじゃなかった…。
そうならないためにも、猫の習性や行動を勉強して理解することが重要です。


旅行や長時間の外出は自由にできなくなる
猫は環境変化に敏感な動物で、環境の変化や見慣れない場所がストレス要因になる可能性があります。
つまり、旅行や帰省のたびに「どうするか」を考える必要があります。
- 2泊以上の旅行:ペットホテルやシッターさんの手配が必要
- 急な出張:預け先が見つからない場合もある
- 長時間の外出:ごはん・トイレ・脱走対策の準備が必要
猫を飼う前と後では、飼い主さんの行動に関わる自由度は確実に変化します。
すこしなら留守番できるよね?!
1泊2日までなら十分な準備をすることで、問題なく留守番できる猫もいます。一方で2泊を超える長期の留守番には、ペットホテルやシッターさんが不可欠です。
猫の留守番に関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。


旅行をあきらめる必要はありません。ただし「行きたい」と思った瞬間に行ける生活ではなくなることは理解しておく必要があります。
初期費用と毎月の固定費が重くのしかかる
猫を迎えるときには「迎えるときにかかるお金」と「毎月続くお金」の両方を考える必要があります。
- ケージ:10,000〜30,000円前後
- クレート:3,000〜10,000円前後
- キャットタワー:5,000〜20,000円前後
- トイレ・食器・給水器:数千円〜
合計すると、数万円〜10万円前後になることもあります。
- フード代:月3,000〜8,000円前後
- 猫砂:月1,000〜3,000円前後
- 消耗品:爪とぎやおもちゃの買い替え
仮に月5,000円でも1年で60,000円となり、10年で600,000円になります。



フードの好みも千差万別なので、毎月かかる費用は変わってきます。
猫との暮らしにかかるお金は、最初だけではありません。迎えた日から10年以上続く支出を、無理なく支えられるかを考えておくことが大切です。
突然の医療費が発生する可能性がある
元気そうに見えても、ある日突然に高額な医療費が必要になることがあります。
アニコム損害保険の調査では、猫の病気の種類によっては1回あたり数万円〜10万円超の請求例が報告されています。とくに泌尿器疾患や消化器疾患、腫瘍関連では入院や手術が必要になるケースもあります。
参考文献:家庭どうぶつ白書|ペットの相談
- 尿路閉塞:緊急処置や入院が必要になることがある
- 誤食:内視鏡や開腹手術に発展する可能性
- 骨折・外傷:手術費用が高額になることも
- 腫瘍疾患:検査・手術・通院が長期化する場合がある
若いうちは医療費が少ない傾向にありますが、高齢期になると請求額は増加する傾向が示されています。
猫の治療に対して、急な出費が発生しても冷静に判断できる準備があるか? このような現実的な問題も想定しておく必要があります。


猫と暮らすための7つのチェックリスト
猫を飼うことの現実を知っていただき、気持ちが揺らいでしまった方もいるかもしれません。



猫を飼うのが不安になっちゃった…。
猫を迎える前に、ご自身の状況を客観的に確認することが、不安を解消する最も現実的な方法です。ここで「猫と暮らすためのチェックポイント」を改めて確認してみてください。



チェックしてみて、不安が残る項目はありましたか?
もし引っかかる部分があるなら、その点についてもう一度だけ立ち止まって考えてみてください。
猫が飼育放棄されてしまう理由の多くは、想定外の積み重ねです。小さな不安をそのままにせず、しっかり向き合ってから猫を迎え入れましょう。
「猫を飼うんじゃなかった…」と後悔しないために
今回の記事では、猫を飼う前に知っておいていただきたい現実をご紹介しました。



猫は簡単に留守番できると思ってた…。



猫の健康以外に、自分の健康問題も考えないといけなかったな…。
意外と見落としがちなのが、飼い主さんの健康問題です。入院や療養で猫の世話をできる人がいなくなれば、猫の飼育崩壊につながる可能性も否定できません。
猫を飼うことに対して不安がある場合、その不安を一つずつ解消していくことが必要になります。
- お金が不安:毎月「猫積立」を始める(半年〜1年続けて負担を確認)
- 住環境が不安:ペット可物件の条件を具体的に調べる
- 時間が不安:1週間だけ「猫がいる前提」で生活リズムを試す
- 問題行動が不安:保護猫カフェや譲渡会で実際の様子を見たり、聞いたりする
- 頼れる人がいない:ペットホテルやシッターさんの料金を事前に調査する
SNSでは猫との暮らしが魅力的に映る投稿に溢れています。一方で、2万5千頭以上(令和5年度)の猫が自治体に持ち込まれているという事実もしっかり見つめてみてください。
猫を飼いたいなと思ったら、最初にすべきことは猫について知ることです。猫カフェや猫の譲渡会に参加してみて、猫という生き物との暮らしをイメージしてみることがスタートラインになります。



