これから猫を飼おうか迷っている方にとって「室内だけで飼うのは猫にとってストレスにならない?」といった不安でではないでしょうか。
部屋の中だけだと狭くない?
猫を部屋の中で飼うにはどんなことに注意が必要?
猫の飼い方も時代共に変化しており、現在は完全室内飼いが推奨されいます。まだ猫を飼ったことのない方にとって、どのような準備をしておけば良いのか調べるのは大変ですよね。
この記事では、猫を室内飼いする際に必要な8つのポイントをご紹介していきます。これらのポイントを一つ一つクリアしていけば、猫にとって安全で快適な生活環境を作り上げることが可能です。
〈プロフィール〉
- 猫の飼育歴:5年目
- 迷い猫の「くぅ」と保護猫の「みり」と生活中
- 猫と暮らすためのヒントをご紹介
- 猫たちとの遊びを充実させるためのアイテムを模索中
猫を安全に育てるためには完全室内飼いをしよう
猫を飼育する場合には完全室内飼いが推奨されています。完全室内飼いをしている猫は、外に出る猫と比べて以下のようなメリットがあります。
- 交通事故や他の猫とのケンカによる怪我のリスクが減る
- 感染症やノミダニなどの寄生虫のリスクが減る
- 外にでる猫と比べて室内飼いの猫の方が寿命が長い
- 迷子や失踪の心配がない
- 近隣トラブルが少なくなる
外に出れた方がのんびりできそうだけど…。
野良猫たちがのんびり過ごしている様子を見ていると、室内で飼うことが猫たちにとってストレスにならないか心配ですよね。しかし、「外に出る猫と比較して室内飼いの猫たちの方が平均寿命が長かった」という調査結果もあります。
一般社団法人ペットフード協会が2023年に行った全国犬猫飼育実態調査において、外に出る猫の平均寿命が14.18歳なのに対して、外に出ない猫の平均寿命は16.25歳と報告されています。
参照元:令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査 一般社団法人ペットフード協会
野良猫を見ていると悠々自適に暮らしてるようにみえますが、彼らが住む環境は常に様々な危険と隣り合わせなのです。
猫を室内で飼うための環境作り
猫を室内飼いする際には、部屋の中を猫仕様に変えていく必要があります。猫の目線で過ごしやすい環境を作るためには、以下のような点に気をつけましょう。
安全で快適な隠れ場所を作る
部屋の中を自由に動き回れるようになってきたら、猫が隠れる場所をつくってあげましょう。猫は体を隠すことのできる狭い場所を好みます。
猫の隠れ場所を作る際には、以下のアイデアを取り入れましょう。
- 小さめの段ボール箱を活用する
- 本棚や冷蔵庫の上を整理して、休息スペースにする
- 猫用ベッドを用意する
- 個室が付いたキャットタワーを設置する
猫たちは自分の匂いのついた場所に安心感を覚えるので、柔らかい布や毛布を敷いて自分の匂いをつけてあげると落ち着きます。
また猫は高い場所を好む傾向があるため、人の目線より高い位置に隠れ場所を作るのがおすすめです。窓際にハンモックを設置して日向ぼっこスペースを設けるなど、明るい場所も用意します。
複数の隠れ場所を用意すれば、猫が好みや気分に合わせて選べます。狭くて居心地の良い空間を心がけて、猫がリラックスできる環境を整えましょう。
猫は1日の大半の時間を睡眠に充てています。ゆったり眠れる環境は猫たちのストレス軽減にも役立ちます。
十分な運動スペースと様々な種類のおもちゃを用意する
猫を室内飼いする際に、運動不足と肥満には注意が必要です。猫の運動不足を解消するには、飼い主さんが猫としっかり遊んであげる時間を作ることが重要になります。
猫は瞬発的なダッシュ運動やジャンプが得意です。これらの行動は、野生で生活していた猫の祖先たちの本能に由来します。猫に運動を促すには、以下の工夫が効果的です。
- ジャンプができる高さのキャットタワーや本棚を設置する
- 猫じゃらし、ボール、トンネル、ぬいぐるみなど複数種類のおもちゃを用意する
- 自動で動くおもちゃを活用する
特におもちゃを使って狩りの擬似体験をさせてあげることは猫たちの満足度を高めます。
- 猫じゃらしの動かし方を工夫する
- ソファや本棚などの家具の物陰に隠す
- 絨毯の下に隠しながら動かす
- 猫が隠れるように扉や壁を利用する
猫たちも単調な猫じゃらしの動きではすぐに飽きてしまいます。猫用トンネルを利用したり、家具を活用するなど実際の狩りに近いシチュエーションを作ってあげることが重要となります。
爪とぎの場所を作る
爪とぎは猫たちに本能的な行動であるため、上手にコントロールしてあげる必要があります。爪とぎの場所を室内に複数作ってあげることで、猫が家具や壁を傷つけるのを防ぎ、ストレス解消にも役立ちます。
爪とぎには様々な種類があり、猫によって好みが分かれます。根気強く猫たちが好きな爪とぎを探してあげましょう。爪とぎ選びや設置のポイントは以下用のようになります。
- 猫の好みの素材を選ぶ
- 爪とぎの置き方を工夫する
- 爪とぎがしやすいように周辺を片付ける
- キャットニップを活用する
爪とぎを使ったときは褒めてあげることで、正しい場所で爪とぎをする習慣が身に付きます。複数の猫を飼う場合は、十分な数の爪とぎを用意しましょう。
爪とぎは使用しているとボロボロになり、猫たちの満足感も低下してしまいます。定期的に爪とぎを交換し、清潔に保つことで、猫が満足する爪とぎを提供することが可能です。
壁や家具で爪とぎをしてしまう場合は保護シートや忌避スプレーを使って、爪とぎの場所をコントロールしていきましょう。
清潔なトイレを用意する
猫が快適に生活するためには、清潔なトイレを用意してあげることが重要です。キレイ好きな猫たちは一度トイレの場所を覚えてくれれば、決まった場所でトイレをしてくれます。可能であれば猫の数+1つのトイレを用意するのがおすすめです
トイレをきれいに保つには、定期的な掃除や十分な猫砂が必要です。汚れた場所ではトイレを避けたり、我慢してしまうことがあるので注意が必要です。とくにおしっこを我慢してしまうことで、膀胱炎などの泌尿器疾患の原因になっていしまう可能性があります。
トイレの場所を覚えてもらうためには、トイレの設置場所にも気を配りましょう。猫は安心してトイレを使いたいので、落ち着ける環境を整えることが重要です。トイレの位置が変わることも猫にとってはストレスの一つとなるので、トイレの位置を頻繁に変更しないようにするのもポイントです。
キャットタワーやキャットウォークを設置する
キャットタワーやキャットウォークの設置は、猫の室内飼いに重要です。猫に高さのある遊び場を提供でき、運動不足の解消に役立ちます。猫は本能的に高い場所を好むので、縄張り意識を満たせ、ストレスの軽減にもつながります。
設置する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 体格や年齢に合わせたサイズを選ぶ
- 窓際に設置する
- キャットタワーが転倒しないように安全面に配慮
背の高いキャットタワーを設置する際には、エアコンやカーテンレールなど怪我の原因となる場所に飛び移らないように注意が必要です
自由に水が飲める環境を作る
猫が自由に水を飲めるように、水飲みスペースはいくつか用意してあげましょう。
猫の水のみスペースは1箇所だけじゃダメなの?
野生で生活していた猫たちは狩猟行動で得た獲物を食べることで、水分を一緒に摂取していました。また、水の少ない砂漠地帯に生息していたこともあり、あまり積極的に水を飲みません。
水分不足になるとおしっこの回数が減ったり、尿が濃くなっていきます。このような状態が続くと、猫の腎臓病のリスクを高めてしまう要因になります。猫に十分な水を摂取してもらうために、飲水場所を複数作ってあげることで水飲みの機会を増やすことが必要です。
定期的なブラッシングをする
猫たちはストレスがたまると毛繕いを頻繁にするようになります。過度な毛繕いは猫が毛玉を吐く要因の一つです。
猫たちにとってストレスの少ない環境を作ることと同時に、定期的にブラッシングを行なってあげましょう。ブラッシングをしてあげることで室内の抜け毛を減らすことができ、猫とコミュニケーションをとる時間にもなります。
猫が入れない部屋をあらかじめ決めておく
室内で飼う場合に猫に入ってほしくない部屋があればあらかじめ決めておく必要があります。
室内飼いの猫たちにとって家の中は彼らのテリトリーです。猫たちは本能的に自分のテリトリーに異常がないか、日々チェックを怠りません。
自分のテリトリーが確認できないことはとてもストレスになります。部屋に入らないように対策しても、ドアノブぐらいは簡単に開けてしまいます。
猫を迎え入れる前に事前にはいってほしくない部屋は決めておきましょう。
猫の室内飼いで注意するべきトラブル
外に出る猫と比べると安全に生活できる室内飼いですが、室内飼い特有のトラブルに注意する必要があります。猫を迎える場合、部屋の中はきれいに整頓し、猫にとって危険となるものは隠しておく必要があります。
室内飼いの猫が遭遇するトラブルには以下のようなものがあります。
- 誤飲や誤食
- 電気コードを噛む・家電を倒す
- 室内からの脱走
誤飲や誤食
誤飲や誤食は、猫を室内飼いする場合に最も注意が必要なトラブルです。小さなおもちゃや紐などの誤飲は、猫の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
誤飲や誤食を防ぐためには、室内を片付ける習慣を身につける必要があります。
- 小さなおもちゃや紐は使用後すぐに片付ける
- 観葉植物や花は猫に有毒なものを避ける
- 洗剤や薬品は猫の手の届かない場所に保管する
- プラスチック袋やゴム製品は片付ける
- 食べ残したものを放置しない
- ゴミ箱はふた付きにするから、猫の手の届かない場所に保管する
万が一、誤飲や誤食の兆候が見られた場合は、速やかに獣医師に相談してください。早めの対策が猫の命を助けることにつながります。
電気コードを噛む・家電を倒す
電気コードや家電製品は、猫にとって危険なものです。猫は好奇心旺盛で近付く可能性があるため、対策が必要になります。猫はコードを噛むことがあるので、保護カバーで覆いましょう。コードを壁に沿わせたり、家具の裏に隠したりすると安全です。
家電製品の使い方にも注意が必要です。使っていない電気製品のプラグは、コンセントから抜きましょう。テレビやパソコンなど猫が上に登って倒しそうなものはあらかじめ固定する必要があります。
また洗濯機や電子レンジなど狭い場所は猫たちの興味をそそります。使用していないときは、戸締りをしっかりするようにしましょう。
電気ストーブなどの熱を出す家電製品は、猫の手が届かない場所に置いてください。
室内からの脱走対策
ドアノブを開けたり、引き戸を開けたり、小さい体からは信じられないような知恵と力で脱走を試みることがあります。OPPOのようなドアストッパーを活用する他に、脱走防止用の柵を設置することで対策しましょう。
ベランダに出る窓のクレセント錠をしっかりかけて、かつ予備のストッパーもつけておくと安心です。
- 玄関には脱走防止策を設置する
- 入ってほしくない部屋にはストッパーや鍵をつける
- ベランダへ出る窓へは窓用ストッパーを余分につける
室内飼いの猫の留守番方法
猫は半日から1泊程度の期間であれば、問題なく留守番ができます。
元々猫たちは単独で行動すること好む傾向があり、日中は寝ていることが多いため、留守番は比較的得意な動物です。
留守番させる場合には以下の点に注意して、事前に準備しましょう。
- 自動給餌器や自動給水器の準備
- 予備のトイレを設置する
- 見守りアイテムの活用
- 室温対策
- ドア対策
詳細は【猫の留守番に潜む9つのリスク】|安全に留守番するために必要な対策という記事に記載しています。こちらも参考にしてみてください。
猫の健康を管理する方法
外の世界で生活する猫と比べると、室内飼いの猫たちはノミ・ダニやウイルスへの感染のリスクは低くなります。しかしながら室内飼いであったとしても、感染症へ対策が必要です。
また、室内飼いの猫は運動不足に起因した肥満や水の摂取不足からの泌尿器系疾患など、飼い主さんが猫たちの健康をチェックしてあげる必要があります。
猫の健康管理で必ずやるべきことは、以下のとおりです。
- 定期的に健康をチェックする
- ワクチン接種を忘れずに受ける
- 室内環境を清潔に保つ
定期的に健康をチェックする
定期的な健康チェックは、猫の健康維持に欠かせません。日々の観察から年1回の健康診断まで、さまざまな頻度でチェックを行いましょう。
具体的には、以下の項目を定期的に確認してください。
- 日々のチェック:ご飯や水飲み、トイレ
- 週1回:歯や口の中、目、耳の状態
- 月2〜3回:体重測定、爪の手入れ
- 年1回:健康診断やワクチン摂取
定期的なチェックを習慣化すると、猫の健康状態の変化にいち早く気付けます。
猫用のウェラブルデバイスであるCatlog(キャットログ)を使うと、ご飯や水飲みの状況、体重測定やトイレの回数などを自動で計測し記録してくれます。
猫たちの健康チェックは大事だけど、毎日は大変…。
という方はCatlog(キャットログ)の力を借りて、猫たちの健康手帳を作っていきましょう。
健康チェックだけでなく、いつもと違う様子を感じたらすぐに獣医師に相談してください。早期発見・早期治療が、猫の健康を守る上で重要です。
ワクチン接種を忘れずに受ける
完全室内飼いする場合でも、ワクチン接種は猫の健康を守るために重要です。
猫が外に出ない場合でも、飼い主さんが何かのきっかけで病原体を家の中に持ち込んでしまう可能性があります。またペットホテルに預ける場合に、ワクチン摂取の証明を求めらることもあります。
ワクチン接種をする流れは、以下のとおりです。
- 予防接種状況の確認
- 必要なワクチンの選定
- 猫用ワクチンの接種
- 副反応の観察
- 効果が得られる期間の確保
ワクチン接種後は副反応に注意し、異常があれば速やかに獣医師に相談してください。
室内環境を清潔に保つ
猫を室内飼いすると、思っている以上に猫の毛が床や家具の隙間に落ちています。また、猫たち紐やゴミを誤食してしまうことがあるので、掃除機はしっかりかけましょう。
猫を室内飼いする際に必要な家事には以下のようなものがあります。
- 掃除機をかける
- 猫トイレを毎日清掃する
- 食器や水飲み容器を洗浄する
- 爪とぎを定期的に交換する
- 換気をする
猫の室内飼いに関するQ&A
- 行動範囲が室内だけだと、猫にとって狭くありませんか?
-
猫は縄張りを重要視する動物です。猫たちにとって縄張りが広い必要はなく、規則正しく毎日チェックできることが重要となります。そのため室内飼いの猫でも、狭すぎるということはありません。
- 家具の置き方に関して、注意点はありますか?
-
本棚やキャットタワーは猫たちにとって、ジャンプ運動をするための重要なアイテムです。しかし、設置する場所には注意が必要です。エアコンの側やカーテンレールの近くに背の高い家具を設置すると、飛び移ってしまい、思わぬ事故につながる可能性があります。
- 室内飼いでも首輪はしておいた方が良い?
-
室内で飼っていても、部屋から脱走してしまうリスクは常にあります。万が一部屋から出てしまった際に、目印となる首輪があることで猫を見つける可能性を高めることができます。
一方で猫の首輪が家具に引っかかったり、首輪を嫌がって猿ぐつわ状態なる事故に気をつける必要があります。首輪選びは慎重に行いましょう。猫の首輪が不安な場合は、こちらを参考にしてみてください。
まとめ
猫と快適な室内生活を送るためには、今回ご紹介した8つのポイントを満たしてあげることが重要です。
- 安全で快適な隠れ場所を作る
- 十分な運動スペースと様々な種類のおもちゃを用意する
- 爪とぎの場所を作る
- 清潔なトイレを用意する
- キャットタワーやキャットウォークを設置する
- 自由に水が飲める環境を作る
- 定期的なブラッシング
- 猫が入れない部屋をあらかじめ決めておく
全部の項目をいっぺんに作り上げることは困難なので、猫の好みと相談しながら少しずつ改善していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。